幻の世界遺産、バリ・ヒンドゥーの総本山ブサキ寺院
バリ・ヒンドゥーの総本山、ブサキ寺院。聖なる山、アグン山の中腹に位置し、30もの寺院から成っています。インドネシア政府による世界遺産の申請を拒否し続け、独自の文化を守っているユニークな寺院でもあります。神事も多く、バリ島の人々にとってかけがえのない心のよりどころであるブサキ寺院の一端をのぞいてみましょう。
人々から絶大な信仰を集める寺院
ブサキ寺院はヒンドゥー教がバリに広まる以前から、アグン山への信仰の場としてバリの人々に親しまれてきました。バリ・ヒンドゥーが定着した16世紀にゲルゲル王朝の王家の寺院となって以来、人々の絶大な信仰を集めることになり、バリ・ヒンドゥーの総本山としての地位を確立しました。
アグン山を背後に、大小さまざま寺院が集まるブサキ寺院には、メルとよばれる塔や見事な彫刻が施された石像がいくつも建っています。そんななかで正装した人々が熱心に参拝している姿を見ていると、信仰の場としての荘厳さが一層感じられます。 バリの人々には先祖代々伝わる自分の家の寺院というものがあって、まずそこへお参りしてから、中央にあるプナタラン・アグン寺院を参拝します。プナタラン・アグン寺院はヒンドゥー教の3大神のひとつ、シヴァ神が祀られています。さらにブラフマ神を祀るキドゥリン・クレテッ寺院、ヴィシュヌ神を祀るバトゥ・マテッ寺院がプナタラン・アグン寺院のそれぞれ南西と北西にあります。
ブサキ寺院には30もの寺院があるため祭礼の数も多く、観光客も華やかな祭礼にしばしば出会えます。
世界遺産登録に猛反対
バリ・ヒンドゥーを象徴するような寺院でありながら、ブサキ寺院は世界遺産に登録されていません。これまで1990 年、1992 年、2001 年の3回にわたって、インドネシア政府がブサキ寺院を世界遺産候補のリストに載せようとしたのを、寺院側が猛反対し、断念させたという経緯があるのです。地元が世界遺産の登録に反対するというのは珍しいケースですが、その反対理由が、「世界遺産になったら色々な規制がかかり、バリ・ヒンドゥー教の寺院として不都合が生じるのではないか。」ということだったそうです。ブサキ寺院が「幻の世界遺産」と呼ばれる所以です。
改善された悪評、新たなツアーも
ブサキ寺院は、ツアーのガイドが中に入れず、専門のガイドを雇わねばならないとされ、そのガイドに高額な料金を請求されることや、寺院内に物売りが大勢いることなどで現地のツアー会社から長い間敬遠されてきました。ところがここ数年で状況がかなり改善し、ブサキ寺院を訪れるツアーを販売する会社も出てきました。JTBでは、市場でお供え物をそろえ、バリ衣装に着替えてブサキ寺院を参拝する日帰りツアーをご用意しています。ランチではライステラスを一望しながらインドネシア料理をお楽しみ頂けます。信仰心に裏付けされたバリの穏やかさ、静謐さの根源に触れることができます。ご参考までに。
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