ノスタルジックな香港が感じられる街「元朗(ユンロン)」
近年高層住宅が続々と建設され、ベッドタウンとして急発展している新界(ニューテリトリー)地区。
一本路地を入ると、昔懐かしい下町の雰囲気が残っています。
なかでも元朗(ユンロン)はグルメタウンとしても知られているほか、イギリス入植前の歴史的建造物なども残っており、ノスタルジックな香港を感じられる街です。
元朗は新界の西部にあり、尖沙咀から?湾線で美孚まで行き、西鉄線に乗り換えて元朗駅まで約16分。
元朗駅前から軽鉄が伸びており、これに乗れば街のメインストリート「青山公路」を通って、隣町のこれも典型的なベッドタウン「屯門(ティエンムン)」まで行くことができます。
中心街にはブランド店こそないものの、ショッピングセンターや様々な商店、市場、屋台や路上販売などもあり活気に満ちています。
香港リピーターが注目するのは、香港の古き良き味と雰囲気が味わえるB級グルメスポットとしての元朗。
いたるところに飲茶や粥が食べられる食堂、乾麺や中国菓子を売る店があり、どれも香港島や九龍に比べると格安で、自分なりのお気に入りを見つけるのも楽しそうです。
そんな中で特に有名なのが、早朝から飲茶を楽しむ人たちでにぎわう中国料理店の「大栄華茶楼」、香ばしく煎った蝦子をふりかけた麺で知られる製麺所経営の麺屋「好到底麺家」、季節のフルーツが盛りだくさんの薬草ゼリー、B仔涼粉が人気のデザート店「佳記甜品」など。
香港はもともと漁民の街で、約100年前、イギリス支配下に置かれたことでイギリス人による街づくりが進められました。
その間、中国の政情不安により多くの中国人が香港に押し寄せてきましたが、新界では1000年近く前に中国大陸から移住してきた「原居民」が生活しており、元朗などでは今でも原居民による歴史的建造物のほか、当時の暮らしぶりや文化などが色濃く残っています。
原居民の約半数は「客家(ハッカ)」人と言われており、客家はもともと中国東北部から移動してきた漢民族の一種で、独特の言語「客家語」を話し、特有の文化を持ち団結力の強い民族として知られています。
元朗周辺には、城壁村と呼ばれる客家の集落が今でも残っていて観光スポットとなっています。
原居民の作った古い集落のひとつ、屏山(ピンサン)は、歴史的建造物を効率的に回るための屏山文物徑(ピンサン・ヘリテイジ・トレイル)が整備されています。
屏山駅は元朗から軽鉄に乗っていくことができます。
客家の鄧一族による集落で、一族子弟たちの科挙合格を祈念して建てられた文塔、一族の祖先を祀った鄧氏宗祠、学校や私塾、寺、彫刻や壁画が美しい来訪客用の宿泊施設など、いにしえの香港の生活様式をうかがい知ることができるので、こちらも香港リピーターにはぜひ訪れていただきたいスポットです。
トレイル内には集落の歴史をわかりやすく展示した屏山鄧族文物館もあります。
JTBでは元朗、屏山などをめぐり香港のルーツをたずね歩く日帰りツアーをご用意しています。
香港島や九龍とは違ったノスタルジックな味わいを、ガイドと一緒に散策しながら堪能してみてはいかがでしょうか。