マルディグラ (Mardi Gras)・シドニーのゲイ＆レズビアンの祭典

昨今、未来へ向けた企業の経営戦略の一つとして「ダイバーシティ」というカタカナの言葉をよく耳にします。簡単に言えば、国籍、性別、年齢、性的嗜好などさまざまな「違い」を否定するのではなく、むしろ積極的に活かすことが利益につながる、という考え方です。

シドニーのマルディグラは、まさにこのダイバーシティ、つまり性的嗜好の多様性を尊重し、そのパワーや素晴らしさを世界にアピールするお祭りとして、人々の支持を集め、回数を重ねるごとにパワーアップしてきたイベントです。

初めての開催は1978年7月のこと。当時は、今よりも同性愛への偏見が強い時代で、同性愛は犯罪扱い。こうした偏見に対する抗議や、米国サンフランシスコのゲイ社会への支持表明など、政治的な意味合いを込めて、数百人のシドニー在住のゲイやレズビアン、その支持者たちがデモ行進を実施。小さな音響設備を載せたトラックを先頭にオックスフォード・ストリートをハイドパークまで練り歩いたのが始まりです。

ところがこの時は、警察がトラックの運転手を逮捕。抗議する人々と警察当局とのもみあいになり、結局、50人以上が逮捕される騒動となってしましました。しかしこれが契機となり、ニューサウスウェールズ州では、市民が自由に集会やデモ行進を行うための法整備に着手。翌年1979年のパレードには、初回を大きく上回る3000人が参加しました。

1980年からは、パレード終了後のパーティーが始まり、翌81年からは、季節のよい夏の2月に開催時期を変更。ほぼ現在のマルディグラの形が整いました。見物人の数は回を重ねるごとに倍増を続け、90年代半ばには50万人以上が集まる大きなイベントに成長しました。

エイズ問題で自粛を要請されたり、赤字運営に悩むなど、紆余曲折はあったものの、現在ではパレード参加者は1万人以上。オーストラリア国内の他の州や、海外からの観光客も集まるようになり、ニューサウスウェールズ州への経済効果は、推定3800万ドル規模と言われています。

今ではパレードの様子はテレビ中継され、シドニーの夏の風物詩として定着しています。米国の旅行雑誌「コンデ・ナスタ」からは、2006年に世界のコスチューム・パレードのベスト10にも選ばれています。

第37回目を迎える2015年のマルディグラは2月20日～3月8日の日程で開催されます。

マルディグラ・パレードは3月7日の夜に行われる予定です。開催時間は午後7:30～10:30。色とりどりの衣装やきらびやかなメイクアップの男女が、ダーリングハースト地区のオクスフォード・ストリートとフリンダース・ストリートを練り歩く姿はまばゆいばかりです！

道沿いに立って見物することももちろんできますが、一杯飲みながら、ゆっくり見物したいという方向けに、有料チケット制のビューイング・エリアも設けられています。同イベントを運営する組織委員会SGLMG会員専用の「ザ・ダイヤモンドクラブ」と、一般の人も入場できる「パレード・サイドショー」の2カ所があり、座席やスクリーン、トイレ、バーなども完備。MCも登場して、場を盛り上げます。

マルディグラ期間中は、ほかにも色々な場所で関連イベントが多数、開催されます。中でも人気のイベントが、ビクトリア・パークを会場に開催されるフェア・デイ（Fair Day）。芝生でのピクニックがてら、ぶらりと出かけても楽しめます。

2015 年のフェア・デイは2月22日午前10時から午後8時まで開催予定。車いすの方、小さなお子さん、犬連れなど、文字通り、どなたでも楽しめる内容で、食べ物の 屋台やマーケット、子供向けの乗り物などがあります。公園内に設置されたメインステージでは、音楽、ダンス、コメディなど多彩な催しが行われます。夏の気持ち良いシドニーの1日を、満喫してください。

シドニー・ゲイ＆レズビアン・マルディグラ（Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras）
開催日程：2015年2月20日～3月8日
電話：02 9383 0900
URL：https://www.mardigras.org.au/