5分で読めるオーストラリアワイン産地案内

JTBオーストラリア
こあらさん

ワイン生産量は世界第6位、輸出量では世界第4位のワイン大国、オーストラリア。世界で初めて、ボトルのラベルに、ブドウの品種を表示することを義務付けるなど、消費者重視の姿勢も、世界中でオージーワインが支持される要因の1つでしょう。

おかげで産地に詳しくなくても、ある程度、自分好みのワインを選ぶことができます。また、品質保持の技術研究を重ね、コルクではなく、開け閉めに便利なスクリュートップの栓をどんどん採用するなど、ワインの世界に新しい潮流をもたらしています。

南半球のオーストラリアの場合、ワイン産地は主に南部の、気候が比較的涼しい沿岸部に集まっています。ブドウの収穫期は、北半球より半年早く、3~4月。この時期には、あちこちの産地で、ワイン・フェステバルが開催され、ワイン好きなオージーたちがグラス片手に楽しんでいます。

気候が安定しており、ヴィンテージによる差異が欧州ほど大きくないオーストラリアの場合、産地を把握してしまえば、美味しいワインに出会う確率はぐっと高くなります。今回はごく一部ではありますが、代表的な産地とその特徴をご紹介しましょう。

産地ならではのお楽しみが試飲。色々なワインを試して、自分好みのブドウの品種を探してみましょう。

豪州最大のワイン産地、南オーストラリア州

国内最大のワイン産地、南オーストラリアには、1850年代から栽培されている古いブドウの木々があります。

州内の二大産地がバロッサ・バレー(Barossa Valley)とクナワラ(Coonawarra)。

前者では赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カルメネール、マルベック、白はセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなど。後者では赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、シラーズ、ピノ・ノワール。白はシャルドネ、リースリング、トラミナーなどで醸造しています。

世界的に有名なワイナリー、ペンフォールズがあるのも南オーストラリア州です。バロッサ・バレー、イーデン・バレー、マクラーレン・ヴェイル、クナワラなど複数の場所に畑を所有。オーストラリア・ワインの評価を高めた傑作「ペンフォールズ・グランジ」は、クヌンガ・ヒル産のシラーズを主体に少量のカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。

ただしその年の収穫状況によってカベルネ・ソーヴィニヨンは使わないこともあるそうです。ボトル詰め後、さらに15~20年ほど寝かせると飲み頃を迎える長期熟成タイプで、熟した黒いベリー類、胡椒、バニラ、コーヒーなどを感じる複雑なアロマと香りがあります。同様にカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズを使った「BIN389カベルネ・シラーズ」は、「ベビーグランジ」などと呼ばれ、「グランジ」よりお手頃価格ながら、濃厚なベリー類の香り、熟した味わいが楽しめます。

肩肘張らず、楽しく、美味しく楽しめるのも、オーストラリアのワイナリーの魅力です。

最も歴史ある産地、ニュー・サウス・ウェールズ州


ニュー・サウス・ウェールズ州のハンター・バレー(Hunter Valley)は、オーストラリアで最も歴史ある産地で、1800年代初め頃からワイン用のブドウ生産が始まりました。現在、国内ワインの約33%を生産しています。ハンター川の下流域を中心に、シラーズを使った重厚な赤ワイン、シャルドネやセミヨンを使った辛口の白ワインが生産されています。カベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールで作る赤ワインは長期熟成向き。セラーでゆっくり寝かせてください。

ハンター・バレーを代表するワインの1つがローズマウウント・エステート・ワイナリー生産の「ロクスバー シャルドネ」。アッパー・ハンターバレーのテラロッサ土壌で、収穫量を抑えて栽培したシャルドネ種のブドウを使用。ローズマウント社を有名にした銘柄です。一方、1800年代半ばからワイン醸造を手掛けてきたティレル一族が生産する「ティレルズ・ヴァット1 ハンター・セミヨン」も、オーストラリアを代表する白ワインとして、世界中の愛好家の間で知られています。

ぶどう畑が見渡す限り続きます!

こちらはワイナリー内。ワインの樽が並びます。

科学的調査から生まれた西の産地、マーガレットリバー

西オーストラリア州のワイン生産量は、まだ全体の数パーセントにすぎませんが、パース近郊のスワン・バレーを中心に良質なワインを生産しています。

ユニークな生い立ちを持つ産地が、州の南西端に位置するマーガレットリバー(Margaret River)。地理的に遠い場所ながら、科学的な調査結果から、ワイン産地に適していることが分かり、ブドウ栽培が始まりました。

ワイン醸造の歴史はまだ40年と若い産地ですが、今では150以上のワイナリーがあり、高い評価を得ています。上品なシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、力強いシラーズ、さらにセミヨンとソーヴィニヨン・ブランをブレンドした白ワインなどが有名です。

洗練されたスパークリングの産地、ビクトリア州

冷涼地での栽培に適した品種を使った、個性豊かなワイン産地が多数、揃っているビクトリア州。

メルボルンから日帰り圏内にあるヤラ・バレーやモーニングトン・ペニンシュラは、美しい風景の中で美味しいワインや食事が楽しめる週末の人気スポット。上質なシャルドネを使った白ワインや、スパークリングワインの産地として知られています。シトラス、メロン、イチジク、ナッツなどのアロマをお楽しみください。軽やかなピノ・ノワールもお勧めです。

なかでもシャンパーニュで有名な仏モエ・エ・シャンドンのオーストラリア法人「ドメイン・シャンドン」があるヤラ・バレー(Yarra Valley)は注目の産地。現在、80ほどのワイナリーがあります。シラーズを使っためずらしい赤のスパークリングワインも有名で、真夏にクリスマスを迎えるオーストラリアでは、七面鳥と一緒に飲むワインとして人気があります。夏の暑い時期、日本でも、ぜひお試しください。

レストラン併設のワイナリーでは食事をしながらワインテイスティングも。

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