日本史上初の外船チャーター世界一周クルーズ、無事閉幕
2019.7.16
皆様、おはようございます。いつぶりでしょうか、窓の外を見ると雨が降っていました。これまで23ヶ国、34の寄港地を巡ってきましたが、雨が降っていたのは記憶する限り横浜とイタリアのヴェニスと、そして今日の横浜です。荷造りを終えたロッカーには、横浜を出て以来、出番の無かった傘が残っていました。そしてたった今、実に98日ぶりに手に取ることになりました。
デッキでは最後の帰港を(※名古屋には翌日、神戸には翌々日に帰港します)惜しむように多くの方々が雨に濡れながらも近づく横浜港を見ようと外出していました。館山沖から浦賀水道に入り、湾内でベイブリッジを抜けるといよいよ横浜は目の前に迫ってきます。
大桟橋の屋上では傘をさして迎えてくれる方々が見えました。まるで同じような天気の中で、同じように大きく手を振り合って別れた光景を見たことがあります。岸壁からの「おかえりなさーい!」。そして本船からの「ただいまー!」。日本をでて以来、初めて日本語が通じる港。今日だけは「thank you, see you!」ではありません。
また一人、また一人。下船が始まると少しずつ船が軽くなっていきます。船を降りる時に、降りていく人たちに、残っている乗客の方々が手を振ってくれました。帰ってきた人への挨拶ではなく、長旅を共にした仲間への別れの挨拶です。人によって楽しみな寄港地も違えば、食の好みや出席するイベント、抱えている夢や希望も様々、それでも全員にはひとつ共通した想いがありました。
「世界一周をして、日本に戻ってくること」。世界一周を共にした仲間に手を振ってくれているのを見た時、船はキャプテンや航海士だけが動かしているのではなく、スタッフが、クルーが、そしてお客様がいなければ動かないのだと思いました。スエズ運河で撮った集合写真を見て、このメンバーの一部であったことが嬉しくなりました。
世界一周クルーズは、特別なクルーズでした。多くの方々には、明日からまた日常が待っています。それでもこの航海で体験した感動は、何年先にも何かのきっかけで思い出す機会が沢山あると思いました。世界一周を共にした皆様、ご一緒させて頂き、本当にありがとうございました。ごきげんよう、また逢う日まで。
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中村 風詩人(旅写真家)
- Profile
- 旅写真家。クルーズには10年以上毎月乗船しながら国内外10隻に乗船取材。旅した国は80ヶ国にのぼる。世界3周分の海の奇跡をまとめた写真集『ONE OCEAN』や船旅の目的地『小笠原のすべて』(JTBパブリッシング刊)を出版。同展示はキヤノンの協力を受け銀座・名古屋・大阪キヤノンギャラリー、仙台メディアテーク、高崎高島屋、東武宇都宮百貨店、水戸京成百貨店の全国を巡回。日本橋三越や各新聞社ホール、各客船上にて講演、全国のフォトツアーやコンテストの審査も定期的に行っている。